モンドサイト定点観測 2002/03/11 up! モンドサイト定点観測とは?

●○● フェティシュというモンド vol.1 哀愁のガスタンク篇 ●○●

皆さん、こんにちは。今月は、前回までと趣向を変えて、音楽以外のお話なのですが、相変わらず‘モンド’という視点で話を進めていくことには変わりありません。

さて、今回のテーマは「フェティシュというモンド」ということなのですが、皆さんは‘フェチ’ということばを良く使いますか?最近は‘マニア’や‘フリーク’などと同じようなニュアンスで使っているケースも見受けられますが、そもそも‘フェチ’ということばは、「フェティシュ」(fetish)「フェティシズム」(fetisism)から来ているんですね。マニア(mania)やフリーク(freak)にも熱狂的、偏執的という意味がありますが、フェティシュの意味するところはもう少し強いものになります。

ご存知の方もいらっしゃることと思いますが、フェティシュという語は、呪物、物信を意味します。このことから分かるように、まず「宗教的な理由で神聖視するモノ」(それは木片であったり、あるいは動物であったりします)を意味したことばが、転じて「盲目的に崇拝する対象物」を意味するようになったのです。マニアとは医学用語で躁病を指し、これがやがて人が熱狂する状態を示すようになりました。また、フリークとは奇人(変わり者)を意味するので、これらの語は厳密には皆すべて語義が異なるのですが、今はおおよそ同じ意味を持つものとしてとらえられているように思います。つまりその意味するところは「特定の対象に、熱狂的、あるいは偏執的に、こだわる人」。こんな感じではないでしょうか。ただ気をつけたいのは、マニア、フリークということばが本来、行為者(あるいはその状態)を示すのに対し、フェティシュということばは、行為を受ける対象を意味することです。‘フェチ’という語を使う場合は、前者の意味、すなわち行為する者として使われる場合、そして、行為される対象を指す場合、両方の意味が文脈によって使い分けられているようです。

盲目的に崇拝する、というとちょっと宗教的なニュアンスになりますが、今回は、「人とは違うちょっと風変わりなこだわり」という視点から、フェティシュなモンドサイトを紹介したいと思います。サイトを運営される林雄司さんは「Webやぎの目」という面白サイトも運営されているライターの方ですが、このガスタンク2001というサイトは日本全国の「田舎と都会のあいだに位置するようなどっちつかずの街」(manifestより)にぽつんぽつんと点在するガスタンク(正式名はガスホルダ)にスポットを当てて紹介したサイトです。ふだん何気無く日々の生活の中で目にしているものを集めこんな風におもしろく見せられる、ということにあなたもきっと驚くはず。こんな氏の趣味はフリーキッシュというべきででしょうか、それともフェティシュというべきでしょうか。なにはともあれ、ごゆっくりご堪能下さい。(Vol.2につづく)

▽ガスタンク2001
http://village.infoweb.ne.jp/~gas/

紹介者 ウツボカズラ
1980年生まれ。14歳で、YMOの音楽にハマり、音楽に目覚める。
’80年代のテクノポップ、’90年代のテクノを並行して聴きながら クラシック、ジャズ等にも手を出しつつ、現在へ至る。最近はプリ ミティヴなかたちの音楽表現に惹かれ、アイヌの音楽(うたい)や、 アジア中央部の喉歌に惹かれている。音楽は広く浅く楽しくがモットー。

▽フロスティッドグラス http://users.hoops.ne.jp/frostedglass/