モンドサイト定点観測 2002/01/26 up! モンドサイト定点観測とは?

●○● ワルツに踊って、夢を見よう●○●

あっというまに2002年も1月が過ぎ去ろうとしていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。寒さもこれからが本番ですね。健康にはくれぐれも気をつけたいものです。

ところで、今年のニュー・イヤー・コンサートをご覧になった方はいらっしゃいますか。2002年、ウィーン学友協会の指揮台に立ったのは、小沢征爾さんです。

小沢さんはこの9月からウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任されることになり、そのお披露目も兼ねての登場となりました。氏が指揮する楽団は実に力強く、溌剌としてなお甘く軽やかな音で、会場の空気を、そして遠くテレビやラジオの前のわたしたちの心をも、確かに震わせました。

ところでこのニュー・イヤー・コンサート、そもそもの始まりは1939年に遡ります。この年、ドイツ軍がポーランドを侵攻、第2次世界大戦が勃発します。そんな年の大晦日、ウィーンフィルは演目全てをヨハン・シュトラウスの作品とし、特別演奏会を催しました。日増しに戦争が激化する中、この演奏会は大晦日だけでなく、新年にも行われるようになりました。これが今あるニュー・イヤー・コンサートの雛型となったのです。

コンサートでは、19世紀、ハプスブルグ王家の凋落と共にその繁栄に翳りを落とし始めたウィーンの音楽界で大活躍したヨハン・シュトラウス父子、そしてその弟達の楽しいワルツやポルカ、ガロップが盛んに演奏されました。戦いに荒んだ空気をつかの間でも夢のような音楽で忘れたい、と人々の心をとらえ、大変な人気を集めたといいます。人気の理由はヨハン父子がもてはやされた時代の空気と、大戦下の不透明な空気がとてもよく似ていたからに違いありません。

そしてわたしたちが過ごす21世紀の生活も、社会の混乱、経済の混乱、そして世界の混乱に疲れ、つかの間の享楽を強く求めているように思えます。このようなカオスは歴史の上で何度も繰り返されてきたその新たな繰り返しの一端に過ぎないといえるかもしれません。しかしその時代時代を生きる人々が生きるよろこびを求めて懸命にもがいていることには変わりがありません。そんな今、200年あまりにわたって愛されてきた甘く明るい調べが、人々のこころに響く瞬間が必ずやあろうと、わたしは思わずにはいられないのです。

今回ご紹介する「ウィンナワルツの誘い」ではとても素敵なワルツを生涯作りつづけた、ヨハン・シュトラウス2世と、その一族にスポットを絞って、わかりやすい解説がなされています。シュトラウス2世とその家族を手掛かりに、ワルツの奥深い魅力に触れてみませんか。そしてまた、ワルツとの出会いがあなたにとって、さらなる新しい音楽との出会いになることを願ってやみません。それでは、下のリンクからどうぞ!

▽ウィンナワルツの誘い
http://www5.plala.or.jp/chunworld/winnawalz.htm

紹介者 ウツボカズラ
1980年生まれ。14歳で、YMOの音楽にハマり、音楽に目覚める。
’80年代のテクノポップ、’90年代のテクノを並行して聴きながら クラシック、ジャズ等にも手を出しつつ、現在へ至る。最近はプリ ミティヴなかたちの音楽表現に惹かれ、アイヌの音楽(うたい)や、 アジア中央部の喉歌に惹かれている。音楽は広く浅く楽しくがモットー。

▽フロスティッドグラス http://users.hoops.ne.jp/frostedglass/