ブルース・リーが、死の直前に格闘シーンのみ撮影していた「死亡遊戯」。その全オリジナル映像を自由に編集し発表する権利を、日米の2つの会社が同時に取得した。

2000年2月、この無声の全素材を香港で観るイベントというものに参加したが、OKテイクだけでも各シーンごとに複数存在していた。順列組み合わせで様々なヴァージョンの死亡遊戯が作れるくらいだ。

そして、その日本版が遂に完成した。 22年前に不完全な形で残存素材を使用し完成されたロバート・クローズ監督版「死亡遊戯」と区別するために、今回のタイトルは、「BRUCE LEE in G.O.D. 死亡的遊戯」。G.O.D.とは“ゲーム・オヴ・デス”の頭文字。「死亡的遊戯」とは、撮影中のカチンコに書いてあったタイトル表記だ。

前半は「知ってるつもり」再現ドラマふうに、そっくりさんによる「死亡的遊戯」の製作過程が描かれ、関係者インタビューも挿入される。格闘シーンは、40分という破格の長さだった。しかも、今回はすべての対戦相手が各流派の達人。クローズ版と違い、リーも敵も饒舌に会話を交わし戦う。その中で彼の武道哲学が娯楽性を両立させ織り込まれていくのだ。究極の作品を完成させる意気込みでクランク・インした作品だということが伝わってくる。

アメリカ版製作者はどのテイクをつないで一体どういう形で提示するのだろうか。残されたお楽しみのひとつである。(了) 

【POP ASIA  34号 (2001年2月)】